日経0205/36面
ピーテル・サーンレダムは日本ではあまり知られていませんが、教会堂の内部の建築画を好む画家です。
アムステルダム国立美術館が所有するサーンレダムの教会堂画(1636年油彩)には、遠近法の効いた教会堂奥に大きなオルガンが描かれています。このオルガンは、15世紀後半に設置されたものですが、プロテスタントに信仰が変わってからほとんど私用されなくなっていました。
その後1643年に、一部の演奏家や愛好家がオルガンを使用するように市議会に陳情しました。彼の絵は、まさにその陳情に関わる政治的な主張の手段として描かれたものでした。その甲斐もあってか、オルガンは修理され日常的に使用されるようになりましたとさ。
はて、キリスト教のプロテスタントはオルガンをあまり使用しないのでしょうか?
いずれにしても、何気ない美しい(しかも、来訪者もまばらな静けさのある教会堂画)がそんな政治的主張を秘めているなんて、その絵をみただけでは分かりません。こういう芸術の背景を楽しみ方法も、あるんですねぇ。
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