工学部向きの政治話題がひとつ増えました。放射線量のSv:シーベルトに類似した分かりにくい話題だと思います。
本日の参議院本会議にて安倍首相が、内閣府のデータはシンクライアント方式を採用しているため、(桜を見る会の出席者名簿の)復元は不可能、と答弁しました。この「シンクライアント」というワードが、ヤフートレンド入りするなど注目を浴びています。
今回は、シンクライアントって何なんでしょう?について解説します。個人的な思い出としては、名古屋大学でも研究室に配属されて専用パソコンを支給されるまでは、プログラミングの授業などは共用パソコンで、シンクライアント方式で授業を受けていた記憶があります。
いきなり答えですが、シンクライアントとは、パソコン業界の言葉で、利用者が使うパソコンの機能は必要最小限のデータの保管や業務処理能力だけを付与して、実際のデータの保管や負荷の高い業務はサーバー側で処理するパソコンの使い方を意味します。
例えばですが、僕たちも普段インターネットを使って、グーグルやヤフーを使って調べたい言葉を検索します。普段何気なく使っているのであまり気にならないですが、グーグルで調べたい言葉を入力した瞬間に、検索結果は表示されますよね。世界中にあるwebサイトを片っ端まで調べて、その上で、調べたい言葉に関連があるページを探してきて整理して表示するって、とてつもなく大変な作業なのに、グーグルを使えば一瞬で調べることができます。これは、自分が使っているパソコンやスマフォが実際に調べているわけではなく、グーグルの超高性能サーバーが普段から世界中のネットを検索しまくって、データとして保管してくれている情報を、僕たちはその任意の一部のデータを呼び出すことで検索結果を瞬時にみることができます。この、一部を呼び出す、というのが本質で、元となるデータやその処理は実際にはサーバー側で行われているのであり、個々の端末やパソコンはあくまでその一部を参照しているに過ぎません。
一般的に、サーバーはいつ壊れていいように、常にバックアップを取りながら稼働しています。つまり、政府側は名簿を消去したと主張しますが、それは個々の末端の端末の状態を示すのであり、サーバー側のデータやバックアップを末端のユーザーがサーバーにアクセスして消去することは普通はありえません。だから、原則としては、名簿はサーバー側に残っている、もしくはサーバーに現時点では残っていなくても差分データのバックアップが残っている可能性は極めて高いのではないでしょうか。そもそも、そういう意図しないデータの消失などに備えてのシンクライアントでの運用ではないでしょうか。国家の情報が例えば担当者のミスとか、パソコンが壊れたとかで情報が失われたら、問題です。そうした問題を解決する手法のひとつがシンクライアントだと思います。
僕はてっきり、名簿管理はネットに繋がっていない、クローズドな環境のパソコンで管理運営されているのかと思っていましたが、そうじゃないのですね。
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